［rbr］ ページ25
.
風邪ひいた。休日でよかった。
かんでもかんでも垂れてくる鼻水に内心キレてる。八つ当たりでティッシュをゴミ箱にスパーキング。
本日千云回目のスマッシュを決めてちょっとスカッとしたところで、ドアがコンコンとノックされた。仕事かな。仕事だったら嫌だな。
「あ、Aちゃん、大丈夫？風邪ひいたって聞いたんやけど！」
仕事より嫌なやつ来た。
ロボロが持ってきてくれたりんごが美味しそうでつい部屋に招き入れてしまった。これはロボロを部屋に招き入れたんじゃない。りんごを部屋に招き入れてるんだ。
狭い部屋の狭い床に小さめのテーブルを引っ張り出してきて、床に座り込んで無心でりんごにかぶりつく。しゃくしゃくと音を立てて消えてゆくりんごはほんのり冷たくて、熱に侵された身体がじんわりと冷えてゆく気がする。
「ど？美味しい？」
『うん』
「他になんか食べれそうやったら作ってくるで」
『お粥食べたい』
「わかった」
『何も入ってないやつ、塩だけの』
「んふふ、オッケーまかせろ！」
あぐらを解いて部屋から出ていくロボロの背中を見送った。よく見ると姿勢が良いな。
……私と一緒じゃない時は、普通にかっこいいんだよな。背は低いけどハイスペだし、面倒見良いし。私と一緒にいなければ。
ロボロがお粥を持って来てくれる頃には少し熱が上がってきてしまったようでベッドに横になっていた。
「あ、ごめん。寝てた？」
『んーん、横になってるだけ』
「食べれそう？」
『食べる』
あーんしてあげよか？なんて至極真面目に聞いてくるロボロの手から器を奪い取る。自分で食べれるし。
「なあ」と静まり返った部屋にロボロの声が響く。いつもの半分もない落ち着いた声はきっと私のためにボリュームを下げてくれているのだろう。
「俺じゃ嫌かもしれんけど、呼びつけてくれればなんでもするからな」
なんだ、そんな事考えてたの。雑面越しじゃ表情が読み取れない事は分かっているのに、じっと天の字を見つめてしまう。
『じゃあなんか歌って』
「え、歌？」
『上手いでしょ』
「いや」とか「え」とか狼狽えて小動物みたいにキョロキョロする姿に思わず笑ってしまう。
『あはは、冗談だよ。ほんとからかい甲斐抜群だよね、ロボロって』
「っはぁ！？ほんま、おま……ほんまに、もお〜……」
天を仰ぐロボロをくすくす笑っていたら何かスイッチを入れてしまったらしい。その後小一時間ベッド脇で美声を披露された。普通に上手だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 198人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
元青磁(プロフ) - 森。さん» ﾜ°……！？あばばばばありがとうございます(；▽；) (4月18日 20時) (
レス) id: d3f69151ea (このIDを非表示/違反報告)
森。(プロフ) - この甘すぎずさっぱりしすぎずの距離感好きです！！！ (4月18日 17時) (レス) @page20 id: 21990a494b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：元青磁 | 作成日時：2024年4月9日 4時
